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2016年6月2日

まもなく、たんたん食堂が開店します。|「地元が大っ嫌いだった」-栗林寛之さん

il pulcinella tantan_syokudou

みなさんは、これからの「働き方・暮らし方」にどのようなイメージをもっていますか?

ひとえに「これから」と言っても、数学のテストのように「1つ」の答えがないから難しい。 まあ、なんとなーくでいいんだと思います。を楽しみながら、地域のや日常のお話を聞きながら。なんとなーく「これから」をみんなで考えてみませんか?

そんな「食堂」があったらいいな…。 というわけで、作っちゃいました!

その名も、「たんたん食堂」(※1)

今回は、京都府福知山市IL PULCINELLAというイタリアン食堂のオーナーをされている栗林 寛之さん(以下、栗林)にお話をお伺いしました。

栗林 寛之(くりばやし ひろゆき)さん:IL PULCINELLAオーナー。もともと地元が大嫌いだった栗林さん。大学卒業後に企業への就職を経て、イタリアの調理師学校へ。調理師の世界では、すでに出遅れている年齢だったそう。持ち前の「負けん気」の強さでひたむきに修行を積まれます。憧れの地・イタリアで学ぶことに必死になり、頭がガチガチになっていたことに気づきます。再びイタリアで修行すべく身の回りの金品を売払って資金を貯め、二度目のイタリアへ。イタリア人の方々が “自分の地元を語れる” ことにショックを受けたのだそう。紆余曲折を経て、今は「地元」でお店を営んでいます。

 (※1)たんたん…かつて丹波国と丹後国の一部であった福知山市、綾部市、舞鶴市のこと。 

イタリア仕込みのパニーニは、ひと目を気にせず豪快にかぶり付きました(笑) 私事ですが、好奇心に任せて歩き回った、ヨーロッパの情景を思い出しました。イタリアにも行ってみたいなぁ。 

◆幼稚園で初めて「日本」の枠を外れてみる。

-え、ちょっと早すぎませんか(笑)

栗林:キリスト教ではなかったけれど、近所にあるキリスト教の幼稚園へ通っていました。ミサがあったり、イエスキリストの劇をしたり。初めて日本の外のものに触れた瞬間やったね。 「感謝してご飯を食べる」というキリストの教えは、イタリア料理にも通ずるもんがあるんですよ。

◆小学校6年生で生まれて初めて「商売」をしてみる。

-え、ちょっと早すぎませんか(本日二度目)

栗林:幼い頃から、活発で目を離したらどっかに行く子でした。学校がキライで、先生に「帰れ」と言われたら帰る子。根っからの負けず嫌いやね。 自分も同い年やのに、小学校3年生の頃から同年代を「幼稚くさい」と心の中で思っていて、変に冷めてた子どもやってん。

その一方でスケボーにめっちゃハマってたんやけどね。

ここまで読んでいただいた皆さんもお察しの通り、栗林少年はただの少年ではありません(笑)

栗林:小学校6年生の頃、近所にいた年下の子がカブトムシ捕りが上手でたくさん持っててん。「ちょうだい」ってタダでもらったカブトムシを手に、東大阪の友達の家に行ってな。その頃は「カブトムシ」が百貨店で1000円〜2000円で売られていた時代やし「いける」と思って(笑)  友達の家の前でカブトムシを並べてみると、見事にアタリ!売れてんな〜

そんな俺の素行を見るに見かねたお母さんが、家庭教師をつけてんな。このとき開花するねん。

厳しいおばちゃんだったけど、勉強の仕方を教えてくれた。

これまでニガテやったはずの勉強が楽しくなって、中学3年間は「神童」と呼ばれるくらいまでいったわ。全国一律の模擬テストかなんかで、ベスト10に入ったこともあった。飛躍的に勉強ができるようになったから、両親や周りも期待しだして…。

◆高校受験の挫折と、何となく入った大学。

-神童!その後はどういう進路に進まれたんですか?

栗林:そんな神童時代に初めて、地元を出て受験をしまして。でもやっぱり何やかんやで “田舎の子” やったから緊張したんやろうね〜 。試験の面接で「一人暮らしはできますか?」と尋ねらた時に、「ちょっとわかりません」と素直に答えてしまって。 ここで初めての挫折を味わったんやけど、そのまま地元の高校の進学クラスへ入学。俺自身感覚で学ぶことを覚えてしまったから、周りの子達との集中力や理解力の差を体感して、勉強を辞めてしまったんよね。

「周りもそうやったから、大学は普通にいくもんやと思ってた。」

栗林:もう勉強あんましせんと、センター試験だけでクリアできそうな大学を探して。たまたま見ていた香川大学の周辺地図で「栗林(りつりん)公園」っていう文字を発見したんよね(笑) 妙な親近感が湧いてしまって、進学を決意しました。得意科目3教科で挑んだ受験やったから600点中596点を取って、香川大学農学部へ。 興味がないのに入ってしまった大学で、見事に落ちこぼれてしまうんよね。 「目の前の女の子にモテたらええ」本当にそれだけ。バイトして、みんなで飲んで、旅行して、遊んで。

◆ついに、そんな栗林さんに天罰がくだります。

-ついに、きたんですね(笑)

栗林:卒業論文に取り掛かろうとした頃のこと。いつものようにみんなでわいわい過ごした後、原付に乗りながら居眠りしてしもて。民家に突っ込んで3日間意識もなく、膝を20針縫う怪我やった。今でこそ笑い話で済んでるんやけど・・・ それでも運だけはよかったんやろね。卒論は周りに助けてもらって、どうにか卒業はできました。

◆やっぱり「パンが好きやから」

-今日のパニーニもおいしかったです。

栗林:そんなこんなで、仕事先や仕事内容もあんまり深く考えずに「パンが好き」だから「パン屋さん」へ。単純やろ? 当初から行きたかった、全国シェア4位のパンメーカーすんなり入れてしまったんよね。ただ、入ったものの、会社の仕事は単調で面白くなくて。楽しさを覚える前に、すぐにやめてしまってん。

「本気か?わかってるんか?」

仕事を辞めて店をやろうと思っている旨を伝えたら上司にそう言われて。

「わかってます」

(本当かなあ、と私は少し疑ってしまいました。すみません・・・。笑)

そんなこんなで退職前にもらったボーナスで香川に戻り、学生時代のバイト先だった創作料理屋さんへ。 料理を作りたくてしょうがない自分に「ホールから入るように」ってオーナーが言ってんな。でもそれがよくて。接客を通してお客さんの「感覚」や「距離感」を学びました。

◆イタリア料理を初めて知り、面白さを知る。

-本物を学ぶって、めっちゃいいですよね!

栗林:面白さを知ると学びたくなるよね。次はきっちり学ぶために、老舗のイタリア料理屋さんへ。

修業先ではボロ雑巾のように扱われ、自分のことを「人間だと思わない」ようにしたんよね。お金をもらって教えてもらっているという感覚。 「(食材を)お前がさわるとまずくなる」と言われたこともあった。ただ、今ならわからなくもないかな〜って。

経験によって見える視点が変わってきたのかも。3年間仕込みを教えてもらったけど、ほとんど下処理のみやった。ランチ休憩はわずか5分やしね。今、当時のメモ帳を改めて見てみると、反省文がぎっしり書いてあるわ(笑)

シェフの仕込みをひたすら観察・暗記する毎日。見て覚えようとガン見していると、「ぼーっとすんな」 、横でメモを取っていると、「殺すぞ」。そんなんばっかりやったわ(笑)

そんな調子でイタリア料理屋を転々としながら、イタリア行きの資金調達をしていました。リニューアルオープンした大きめのイタリアンカフェ。 でも1年後のある日、店長と料理長が急にいなくなってん。 バイトの子は厨房慣れてないから使えんし、自分も余裕がなくて教えられへんし、本見てパクる、イライラすると下の子に当たるという悪循環の日々。

それでも、不器用ながらにちょっとずつ形になってきて。 ちょうどその頃、社長がミラノに10年住んでいた女性のシェフを引き抜いてきて、彼女の元で1年間。

ただただ、勉強したかった。

ほんまにそれだけやってんな。彼女の元で初めて、本場のイタリアンがこんなにシンプルでこれだけでおいしくなるということを知った。 それと同時に「絶対にイタリアへ行こう」って。

◆貯めた資金を片手に、初めてイタリアへ。

-実際に訪れてみて、いかがでしたか?

栗林:実際に訪れてみて、これまでガチガチに描いていた「イタリア料理のイメージ」はゴロっとかわった。肩の抜き方を知り、勉強ばっかりではダメやとここで気づいてんな。

お察しの通り、栗林さんの紆余曲折は、これだけでは終わりません(笑)

かつて、大っ嫌いだったはずの地元の閉鎖感やジメジメ感。 「向き合ってみるのもいいかも」と思えたのはイタリアの存在があったからだとおっしゃっていました。 肩の力が抜け、物事の捉え方が変わり、気がつけば今はそんな「地元」でお店を営んでおられます。

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▲ラクガキし放題の床。連日子どもさんに大人気!

「本当にしたいことは何やろう」 落ち着いてきた今だからこそ、自分に問い続ける栗林さん。

 -最後に1つお伺いしたいのですが、

人生を楽しくする「素材」の見つけ方とは?

そんな栗林さんのBuono!なイタリアンを囲みながら、自分たちの「これから」についてなんとなーく考えてみるイベント「たんたん食堂」がこの7月に開催されます! ぜひ、会場へいらしてください。

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<詳細>

日時:7月1日(木) 18:30(開場) 19:00(スタート)  @Deまち

住所:〒602-0824 京都府京都市上京区一真町67

アクセス:京阪「出町柳」徒歩5分

参加費:学生 1000yen 社会人 1500yen

参加申し込みはこちらへお願い致します。