Close

2016年6月5日

まもなく、たんたん食堂が開店します。|「旅するように働く」-渡邉直樹さん

Fon Din tantan_syokudou

みなさんは、これからの「働き方・暮らし方」にどのようなイメージをもっていますか?

ひとえに「これから」と言っても、数学のテストのように「1つ」の答えがないから難しい。 まあ、なんとなーくでいいんだと思います。食を楽しみながら、地域の職や日常のお話を聞きながら。なんとなーく「これから」をみんなで考えてみませんか?

そんな「食堂」があったらいいな…。 というわけで、作っちゃいました!

その名も、「たんたん食堂」(※1)

今回は京都府舞鶴市の瀬崎というところでFon Dinというタイごはんのお店を営まれている、渡邉直樹さん(以下、渡邉)にお話をお伺いしました。

(※1)たんたん…かつて丹波国と丹後国の一部であった福知山市、綾部市、舞鶴市のこと。

渡邉 直樹(わたなべ なおき)さん:Fon Din店主。静岡県出身。小中高大と静岡市内で過ごされます。中学は軟式テニスで、高校は硬式テニス。勉強にも、スポーツにも一生懸命だったそう。職業としてはぼんやりと「弁護士」を思い浮かべて法学部へ。本人曰く、これは「失敗」だったそうですが…。大学時代はタイやインドを中心にバックパッカーとしてあちらこちらを旅されてきました。その後、企業への就職を機に東京へ。3年後にはまた旅へ出ようと当初から考えられていました。アジアと日本を行ったり来たり。日本中を旅するように働いた後、結婚を経て、現在は舞鶴の瀬崎というところでタイのご飯屋さんをされています。

◆給食が嫌いすぎて学校に行きたくない日があった。

-たんたん食堂のこれまでの記事も読んでくださったそうで。なべさんはどんなお子さんだったんですか?

渡邉:小さい頃から運動が好きで、勉強も割と好きでした。自分で言うのもなんだけど真面目なタイプだね。言われなくても宿題はやるタイプでした。やんちゃな方ではないですね。

(これまでのお二方とは少し雰囲気が違いますね。笑)

実は給食は嫌いで(笑) 生野菜が食べられなかったんだよね。

ふと、タイの友人を思い出しました。 皆、ハンバーガーからレタスやトマトなどを抜くんですよね。始めは驚きました。 なべさんもかつてマックのピクルスやレタスを抜いていたのだそう(笑)

そんなところにも少し、タイとの共通点を見つけた気がしました。

don din

▲店内の様子。赤ちゃん連れのママさんにも嬉しい畳。

◆高校時代は部活に一生懸命、勉強も頑張っていた。

-小さい頃から、将来の夢はごはん屋さんだったんですか?

渡邉:中学の頃から始めたテニス(中学:軟式 高校:硬式)に一生懸命でした。「コレ」と言ってなりたい職業は特に考えてなかったんですけど、進学校だったので周りも大学に行くしなぁ、とセンター試験を受けて近くの大学へ。 英語を学ぶか法律を学ぶか迷った末に法学部を選択したのですが、失敗しちゃったかな(笑) 法律に興味をもったのは、高校時代の公民や倫理の先生が良かったのかも。正義感は割と強かったのかもしれないね〜。なので職業として考えた時に弁護士を考えていました。

◆実は、大学にはあまり行かなかったんです(笑)

-大学時代は熱心に勉強をされていたのですか?

渡邉:いいえ(笑) バックパッカーで世界中あっちこっち。インドタイによく行っていました。また行ってもいいかなぁと思えるのもこの2カ国ですね。あっちこっち行った中でも印象に残っている場所は「誰か」がいたところ。

大学時代は駅の近くにあった、小屋のようなカフェでアルバイトをしていました。20年以上前になるかな〜、当時にしては珍しいエスプレッソマシーンが導入されたカフェで、シアトル帰りの若い女社長が始められたカフェでした。 お客さんと話すのが好きで、コーヒーのある「空間」そのものに惹かれていきます。

このあたりで「法律はもういいや(笑)」となってしましました。

fon din

▲キッチンにて。なべさんときょうこさん(奥さん)

◆就職しても3年後には旅に出る予定だった。

-旅と就職の折り合いはつけられたんですか?

渡邉:3年後には旅に出る予定でした(笑) なのでいくつかある中でも「やりたい」仕事に就こうと思い、社会勉強のつもりで東京の紅茶パッケージデザインの会社に一度就職をしました。興味のあった陶器などに触れる機会があり、それはそれで良かったのだけど、2年目でいろいろ限界がきたんだよね。 仕事にも、東京の暮らしにも。

静岡に帰って1年半くらいは次の旅の資金を貯めることして、 お茶屋さんを改装した日本酒×洋食を楽しめる創作料理屋さんで働いていました。有名なキルフェボンの新店舗だったので、良い勉強になったね〜。接客を楽しみながら、好きな陶器にも触れられ、お酒を習い、ふつふつとこの頃から「飲食店」に興味が湧いてきました。 そして目標通り、アジアで暮らすように旅をしていきます。

◆「深夜特急」に憧れて

深夜特急とは沢木耕太郎さんによる紀行小説のこと。沢木氏が旅をしなが文章を綴っていくスタイル。

fon din02

-その時は目的もなくひたすら放浪していたんですか?

渡邉:約1年半、タイを拠点に中国やミャンマー、カンボジア、ラオス… だったかな。写真が好きで、当時の一番の目的は「写真」でした。バックパックは100本くらいのフィルムとカメラでほとんど埋まってたんだけど、これがなかなか重いんですよね〜。

帰ってから、撮った写真を見てガッカリした(笑)でも、1枚でもいいものがあればいいかなって。デジカメのように何がどう撮れているかわからないけど、1枚にかける想いってなんとなくいいよね。とはいえ、やっぱりフィルムは高いから撮るのを躊躇してしまうんだけど。

「人」を撮る機会が多かったかな。「撮らせて欲しい」と伝えることでコミュニケーションが始まるから。そうしていくうちに英語だけじゃなくて、タイ語にスペイン語も習得しました。中南米は英語を話せない人多かったしね。中国では筆談で会話したよ!やっぱり漢字は役に立ったね(笑)

旅行者とは違う視点で国を、地域を見ることができる。

現地取材をしてこなかったので、結局「深夜特急」は書けなかったけれど、 日本に帰ってもまた海外へ行くことばっかり考えてしまう。そうなると会社に勤めることが “リスク” になっちゃって。でも、会社側にも悪いから1,2年で辞めるのに就職はなかなかできないよね。

fon din

▲とっても人懐っこいハニーさん

◆大多数がだんだん変わっていく。

-次は日本を?うらやましい限りです。

渡邉:日本中を旅しながら働いていくうちに、周りの人や多様な価値観に触れました。もしかしたら昔はマイノリティだったかもしれないけれど、今は自分の周りにいる人たちがあの頃とは変わってきて。暮らしていく上で居心地のいいコミュニティが見つかったのかもしれませんね。

地方の暮らしに溶け込んでいくような体験は自分ひとりじゃできなかったなぁって。地元の漁師さんや農家さんにホームステイをしていく中で、「食」のありがたみを改めて感じるようになりました。日本中を知ることができ、自分にはずっとなかった「田舎」が出会いの数だけ増えていく感じ。親戚も全部静岡で完結してしまっていたから、小学生の時に田舎に行く友人がうらやましかったのかもしれないね。

「いつか」を少しずつ体現してこられた様子がとても印象的でした。例えば、自然農法で野菜を育てることや、山の近くで暮らすこと。そしてカフェを開くこと。

◆「フリーな俺がやるしかない(笑)」

-そんな働き方を選択した自分だからできたことがあったのだそう。

渡邉:結果論なのかもしれないけれど。両親の体の具合が順番に悪くなってしまった頃に、親孝行ができたんだよね。 実家で家事をしていた時期があって。その時、自分が作る料理を「おいしい」と食べてくれた両親がきっかけで、食事を出す仕事もいいなと思うようになって。両親の病気は食生活からくるものだったから。

1年ほど家事をするために実家にいたことで外に出られないストレスが溜まってきた頃、農的な暮らしと出会いました。この時、これまでアジアや中南米を旅して肌で感じていたシンプルな暮らしへの憧れを思い出し、自分の「好き」を再確認しました。

なべさんのおられた静岡市も舞鶴市と同じ城下町。落ち着いていてこじんまりしていて、海があって。 瀬崎はきょうこさん(なべさんの奥さま)のおじいさんのルーツがある場所。「お金はなかったけど、タイミングは良かった」と当時を振り返られます。

fon din

◆今後のやってみたい!を聞かせてください。

渡邉:ここのウリは「場所」であり「家」です。このように今あるものを活かしていきたいと思っています。宿泊もできるようにしていけたらいいなって。

***

 -最後に1つお伺いしたいのですが、

人生に必要な「スパイス」ってなんですか?

そんななべさんのスパイスとハーブのきいたタイ料理を囲みながら、自分たちの「これから」についてなんとなーく考えてみるイベント「たんたん食堂」がこの7月に開催されます! ぜひ、会場へいらしてください。

***

fon din front

<詳細>

日時:7月22日(金) 18:30(開場)19:00(スタート) @KRP町家スタジオ

住所:〒602-8233 京都市上京区福大明神町128

アクセス:市バス(9系統・快速9系統・50系統)堀川中立売 下車 徒歩1分 地下鉄「今出川」徒歩20分

参加費:学生 1000yen 社会人 1500yen

参加申し込みはこちらへお願い致します。