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2016年10月20日

京都わかもん会議のその後 vol.1|想いのしおり代表兼ライター 西野愛菜さん

mana nishino

2016年2月に開催された京都わかもん会議(以下、わかもん会議)から早8ヶ月。あの時の参加者は今、どこで何をしているのでしょうか。参加者のその後の変化を追っていく企画「京都わかもん会議のその後」が始まります。

皆さんは、会議2日目の朝に「仲間ができました!」と言っていた伝統工芸発信女子を覚えていますか?ナイトセッションで「職人LOVEな人、伝統工芸LOVEな人、集まれ〜!」というテーマを挙げてくれていました。小さな体から、伝統工芸への熱い想いが伝わってきましたよね。

今回は、職人さんのインタビューをする想いのしおりというフリーペーパーを作成している彼女の、その後を追ってみたいと思います。

mana nishino

「作り手(職人)と使い手を結びたい。それができる拠点を作りたい。」そんな想いで活動中。まずは、現場に足を運び生の声を聞きたい。京都の職人の想いを発信する『想いのしおり』というフリーペーパーを発行しています。HP:http://omoinosiori.com/

西野 愛菜(にしの まな)さん:京都出身・19歳。想いのしおり代表兼ライター。手仕事職人の町東山活性化プロジェクトメンバー。現在、京都美術工芸大学2年生。

-いきなりですが、その後どうですか?

西野:現在、学生や社会人で想いのしおりに関わってくれるメンバーが約10人になりました。

-おお、すごい!それはわかもん会議で出会った人たち?

西野:その場でつながったメンバーもいますが、わかもん会議参加者につないでもらったメンバーもいます。わかもん会議での出会いがなければ、正直ここまで大きくもならなかったと思っています。今は、当時は考えられなかったような「事業化」へ向けた構想を練っています。

-なるほど。教科書通りのような回答をありがとう(笑)

西野:そういった意味で、わかもん会議は1つのきっかけになりました。ここから始まって人のつながりが出来たことや、自身が「何をしたいのか」より具体的に考えられる機会にもなったから。

それから、最後に「仲間ができました!」と言うとみんなが拍手してくれたんですよね。その瞬間が今でも印象に残っています。 ただ、あの当時の自分が今の自分を想像できたか?というと、それはできていなかったと思います。想像を超えた「今」ですね。

-うんうん、あの瞬間はうちも覚えてる。そこで初めて出会ったもんね。

西野:それから、今通っている大学で感じる閉塞感もあります。学校に通っているだけで、地域に魅力を感じていない学生が案外多いんです。だからこそ “つなぐ・紡ぐ・地域に特化して" という部分にアプローチをかけていきたいという想いもあります。

interview

「想いのしおり」取材の様子

-そういえば「想いのしおり」って何で始めようと思ったの?

西野:高校3年生の時から「職人さんにインタビューがしたい!」と思っていたこともあり、京都美術工芸大学なら専門的に技術が学べるだけでなく職人さんとのつながりが作れると思いました。そんな中訪れたオープンキャンパスで、先生(職人)の手元がキラキラと輝いているように見えたんですよね。 そういった職人さんや伝統工芸の魅力は同い年もあまり知らない。だからこそ、もっと知って ほしくてインタビューをしようと思っていました。

そして、大学1年生の夏休みに初めてイン タビューに行き、昨年11月にフリーペーパーの初号を発行しました。

-もう少し遡ってもいいかな? そもそも何で「職人さん」に興味をもったのかな?

西野:実は、父方の祖父母が昔西陣で織りの職人(織屋、手織り)をしていたんです。私が生まれた頃には、糸繰りという工程をしており、物心がついた頃から糸が家にある環境でした。そんな、昔おばあちゃん家で見た光景が忘れられなくて。

ある日、特に印象に残る出来事があって。私が小学生の頃、祖父母に給料を渡しにきた方が「ありがとうございました」ではなくて、お金を投げるように置いて行ったんですよね。幼いなりにこんなことがあるんや〜と思っていたんです。

-そんなことがあったんやね。幼くても、良くないという雰囲気だけは伝わるもんね〜。それを経ての今なのか。話は戻るんやけど、「想いのしおり」ってどうやって運営しているの?

西野:実費製作で毎月200部発行しています!メンバーは私の想いでつながっており、みんな有志でやってくれているんです。ただ、来年の4月から卒業してしまうメンバーが複数いる中で、今後チーム作りをどうしていくか悩んでいます。現在は任意団体なのですが、活動の延長で起業したいという想いもあるので、資金面をどうにか回していけるようにしたいと思っています。

omoinoshiori

そうなのか…!最年少で代表兼ライターやもんね。頭があがらないわ…。愛菜ちゃんは将来的には「想いのしおり」をどういう風にしていきたいの?

西野:「想いのしおり」自体は、伝統産業に携わる職人さんを発信する媒体として大きくしたいです。でも、それと平行して作り手と使い手をもっとつなげていきたいと思っています。職人さんがどんな想いで作業をしているのか、使い手さんがどんな風に使っているのか、出来上がった物をパッと見ただけでわからない。例えば今日訪れた表具屋さんも入り口を見ただけで何をしているかわからないですよね。

(この日は南丹市の商店街訪問をしており、表具屋さんでお話を聞いていました。)

店の表に行っただけではこのお店で何が・いくらでできるのかが不透明ですし、職人さんの工房の近くに住んでいる人でも何をしているかわからないじゃないですか。職人さんの方も「何でも依頼してくれたら作ります」とおっしゃいますし…。

それから、一般人が職人さんの工房を訪れたら怒られそうというイメージが強く、敷居が高い。気軽に見に行けるものではないですよね。 だからこそ、まずは"行ってきたマップ"を作りたいです。どこにどんな職人さんがいて、どういうことをしているのか。これまで取材をして見える化してきたものを線でつないでいきたいです。

presentation@385

先日の385 placeでのプレゼンの様子

それから、アンテナショップのような拠点を作りたいんです。体験イベントができたり、職人さんにまつわる情報が集まっていたり。ワークショップやトークイベント、お茶会、着付け、伝統工芸ツアーなどができる場所。

その場所で、伝統工芸品を売ったり買ったりできるといいですね。お互いの顔が見えるので、つながりを作ることが出来ると思っています。また、こういう拠点があると、普段見れない工程を見ることができたり、新しいコラボなどのマッチングの場にもなりますし。

もっと気軽に普段使いができる伝統工芸品が生まれていく可能性を秘めていると思います。 それを「京都発、京都で」私が京都生まれ、京都育ちだからこそ。

-それでは、最後になりましたが、次回の参加者にひと言お願いします!

西野:まず大事なのは、 “参加の目的をなるべく明確にする” ということ。やっていることややりたいことを発信すると、拾ってくれる方は必ずいます。 それから、わかもん会議がきっかけになった人とそうでない人がいるという事実もあると思います。その違いは何だろうと考えてみました。

大事なのは、この2日間が終わってから “どんなアクションを起こすのか” ということ。例えばメッセージを送ることや、出会った人に会いに行くこと。ここでできた「つながり」を活かそうとすることが大事だと思っています。

-ありがとうございました。今後の愛菜ちゃんにワクワクしています。

omoinoshiori

ここまでお話をしてくれた彼女の「想いのしおり」取材ノートは、5冊に渡ります。 実は愛菜ちゃん、家族の中で一番不器用なのだとか。一番美大にいかなさそうな彼女がその道に進んだ背景は、幼い頃からおばあちゃん家で触れていた “伝統工芸” のある日常だったのかもしれません。 現在、大学には通ってい入るものの、自分が木工をすることにはあまり興味がなく、それを生業とする人を発信したいという想い。

彼女のような活動が新たな価値を生み出していく時代だからこそ、これから “やりたいこと” と “仕事として食べていくこと” の狭間で奮闘する様子が人を惹きつけていくのではないでしょうか。

最後に「京都」のコミュニティについて少し話していました。ここでは、良い意味で「狭い」からできることがあります。自ら発していくと形になり始め、誰かが勝手に拾ってくれるのが京都の良さ。これだけ顔が見えると、悪いこともできませんしね(笑) ひとつ扉を開けると無限に広がる京都だからこそ、ここに人が集まり、ここから新しいものが生まれていくのかもしれません。