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2016年12月13日

「自分と地域を《つなぐ》食と職」ー講師:荒砂尚樹さん|たんたん食堂レポート

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2016年10月24日(月)に京都市内で開店した、たんたん食堂。京都府北部地域や田舎暮らしを知りたい人、地域の食材を活かした美味しいご飯が食べたい人、友人に誘われた人、北部が面白くなってきている理由を知りたい人など、様々な方にご来店いただけたようです。食を楽しみながら、トークセッションや交流会を通して、足を運んでくださった参加者の皆さんと一緒に「これからの暮らしや働き方」を考える会になりました。

◆たんたん食堂って?

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京阪神にお住いの方々に、もっと中丹地域(福知山・舞鶴・綾部)を知ってもらうための「きっかけ」が作れないだろうかという想いで、京都府中丹広域振興局の企画振興室と(株)基地計画のメンバーで企画したイベントです。

まずは、大学生を中心とした若者に中丹の「食」や「人」を知ってもらうこと。そして、このイベントを機に京都府北部地域へ足を伸ばしていただけると、嬉しくて頬が勝手に緩んでしまう企画です(笑)

また、これまで様々な転機をご経験されてきた講師の方々の職業観や人生観が、今後わたし達の「暮らし方」のヒントになるといいなとこっそり思っているイベントでもあります。

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Photo by Yuji Otsubo

そんな「たんたん食堂」第4回目のゲストは、京都府福知山市出身の荒砂 尚樹(あらすな なおき)さん。現在、地元の雲原大江山 鬼そば屋の六代目としてご活躍されています。

福知山市は、総人口が79,000人あまりの城下町。若狭湾に通ずる一級河川の由良川が流れ、四方が山に囲まれている、自然豊かなエリアです。鬼そば屋がある雲原は、酒呑童子が住んでいたとされる大江山の鬼伝説の云い伝えがあります。 

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Photo by Yuji Otsubo

本日のお品書きはこちら。

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Photo by Yuji Otsubo

まずは順番に名物の鬼そばをいただきました。鬼そばは京都では珍しい、硬めの食感が特徴の田舎そば。特製の薬味と共に。

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Photo by Yuji Otsubo

こちらは名物の鹿肉のローストとお隣・綾部市の新米のおにぎり

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Photo by Yuji Otsubo

◆家族と向き合い、帰郷を決める

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Photo by Yuji Otsubo

当日は、まず食事を楽しみながら参加者同士の自己紹介タイムを経て、福知山や雲原についてのお話をしてもらいながら、事前に取材して作成した告知記事を元に荒砂さんの「これまで」を振り返りました。

“人を笑わせること” が好きな荒砂さん。地域の話やご自身のお話を、終始会場の笑いを誘いながらお話してくださります。

仮面ライダーになりたかった子ども時代のことや、演劇にはまった高校時代のこと。家業である鬼そば屋がどんどん火の車になっていく様子、廃れていく地元。わかってはいたものの、目を背けながら大学進学と共に滋賀県へ。

ある日、所属していた合気道部の合宿を通して、 “地域のおかげで、店のおかげで、今の自分がある” と思うようになったこと。 当時から、本当に必要なことは「社会」にあると実戦的な学びを大事にされてきたことが印象的でした。それも地域で育ったおかげだとおっしゃいます。

そして迎えた、就職活動。荒砂さんはとあるコンサルティング会社の最終面接で「こういう事情があって、将来的に地元に帰りたい。」と伝えられます。社長も “目的がある人の方が吸収力があるから” と採用に至り、1年半みっちり働かれて帰郷。

戻ってきてから目に映る地元は、これまでとは違って見えたこと。まずは家業を立て直すところから始め、中には苦渋の決断もありましたが、黒字化に成功したこと。29歳になった今年は鬼そば屋としてステップアップの時期でもあるそうです。

役者が揃いはじめ、地域を次のステージへ進めようとしていること。ターニングポイントになりそうだなと思っているタイミングで、地域に移住してくる同世代が現れたり、姉夫婦も農業をしに移住してきたり、鬼そば屋を継いでくれる若者が現れたり。脚本を書いていた頃の感覚が蘇ってくる中、荒砂さんが雲原で描く未来とは。

まずは鬼そば屋を近くの古民家に移転させ、地域を楽しめる、小さな複合施設のようなものができないか、と思っています。

今後の雲原がとっても楽しみです!

◆参加者からのご質問

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Photo by Yuji Otsubo

-「ジビエ」に興味があり、活動をしているのですが、鹿肉の流通についてお伺いしたいです!

荒砂今は猟師さんが丹波の山で獲った上質な鹿を専門の食肉工場で加工しています。近い将来、地域で仕留めたものを地域で流通させらられればと思っています。

荒砂逆に僕(荒砂さん)から聞きたいのですが、将来田舎に移住したい人はどのくらいいますか?

(思ったよりも地元にUターンしたいという声がたくさん。)

荒砂反対に、地元に帰りたくない人は?

(村社会であること、職がないことを理由にチラホラ。)

最後に参加者の方からもうひとつ。

-「若者が地域に定着しない」という声がありますが、それについてどうお考えですか?

荒砂“地域が好き=住みたい!” ではないと思っています。やっぱり、外から見る地域の楽しさと、明日ご飯をどう食べていくかは違うので。先ほどもあったように、職がないのは事実だからこそ、どう仕事をつくっていくか、誰と会うのか、何をして暮らすのかが大事だと思います。

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▲右から、荒砂 尚樹(あらすな なおき)さん、佐々井 飛矢文(ささい としふみ)さん、中村 麻美(なかむら まみ)さん、荒砂 綾乃(あらすな あやの)さん(この日はなんと、皆さんで来てくださいました!)

最後になりましたが、荒砂さんにとって

自分と地域を「つなぐ」食と職

って何だと思いますか?

そば打ちってとっても「つなぎ」が重要なんです。くっつきにくい材料をつなげていくのが「つなぎ」の役目。それを地域で担っていくのが、鬼そば屋が地域に愛される意味であり、自分自身としても挑戦していきたいこと。大事なのは「つなげ方」なんだと思います。

参加者の皆さんと地域や地元の「つなぎ」についても伺ってみると… “時間” 、 “知ってほしいという気持ち” 、 “家族や友達” 、 “安心感” 、 “生業と仲間” 、 “趣味” などさまざまな「つなぎ」があることがわかりました。

今回のたんたん食堂という「つながり」も今後大事にしていただけるととっても嬉しいです。 荒砂さん、鬼そば屋の皆さん、参加者の皆さん、本日はお越しいただき、ありがとうございました!

◆グラフィックレコーディングって?

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お気づきでしたでしょうか?会場の左後ろ側で模造紙の上にショートヘアーの女の子が何やら一生懸命描いてくれていたことを。 ライブ形式で描いていくこちらの絵図はグラフィックレコーディングといい、その場の状況を「見える化」する技法のことです。

その場で話されていることを模造紙に図式化していきながら、参加者の認識を一致させることを目的としています。話し合いやイベントの進度が見えてくると、議論が足りていない部分が明確になったり、理解が進みますよね。もちろん写真に残して振り返ることもできます。 たのちゃん、ありがとう!

それから、ナイスな写真をたくさん撮ってくれたツボちゃんもありがとう! 

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Photo by Yuji Otsubo

◆information◆

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今回の会場Social Kitchenは3階建ての建物で、カフェ・イベントスペース・オフィスが一緒になっています。

Social Kitchenは21世紀型公民館として機能することを目指しています。多様な背景を持つ人たちが、集まり、会話し、議論し、学び、実践する場になればと考えています。 Social Kitchenの1階は喫茶&本屋さん、2階はレクチャー、討論会、勉強会、ワークショップ、バザー、ミーティング、展覧会、パーティー等々に使用できるスペース、2階はシェアオフィスとして使用します。Social Kitchenを使って何かをしたい人はアイデアを持って来てください。(HPより)
住所 

 602-0898 京都市上京区相国寺門前町699

アクセス

 地下鉄「鞍馬口」から徒歩5分

オープン時間

 HPをご確認ください。

HP

 http://hanareproject.net/